経審のZ点(技術力)の計算方法を実例で解説|総合評定値通知書の数字を読み解く

「せっかく技術力のあるベテラン社員がいるのに、経審の評価がイマイチだ…」 「総合評定値通知書を見ても、Z点の数字がどうやって計算されたのかさっぱり分からない…」

建設業を営む経営者の皆さま、こんなお悩みはありませんか?

公共工事を受注するために欠かせない経営事項審査(経審)。その中でも、会社の技術力を客観的に数値化する**Z点(技術力)**は、経審の総合評点(P点)を大きく左右する重要な項目です。この記事では、**Z点(技術力)**の具体的な計算方法について、ご提示いただいた実例数値を使い、計算式に当てはめる過程を分かりやすくお見せします。記事を最後まで読めば、貴社のZ点がどのように算出されるのか、そのロジックが明確になるはずです。


📝 目次


Z点(技術力)とは?どんな要素で計算されるの?⚖️

経審の総合評点(P点)は、以下の5つの評価項目で構成されています。

X1:完成工事高

X2:自己資本額・利益額

Y:経営状況

Z:技術力

W:その他・社会性等

このうち、**Z点(技術力)**は、会社の技術力と施工能力を評価する項目であり、以下の2つの要素から成り立っています。

  1. Z1(技術職員数): 会社の技術者・技能士の量と質を評価します。保有する資格の種類や、在籍している技術者の数が点数に換算されます。
  2. Z2(元請完成工事高): 元請けとして施工した工事の実績を評価します。下請け工事は含まれず、発注者から直接受注した工事の完成工事高が点数に換算されます。

総合評定値通知書のどこを見ればいい?🔍

Z点を計算するには、お手元にある「総合評定値通知書」に記載された数値を使います。

Z点の計算に必要な数値は、通知書の「技術職員数(Z1)」と「元請完成工事高(Z2)」の欄に記載されています。

  • 技術職員数(Z1):この欄に記載された数値が、計算式の「Z1」に該当します。
  • 元請完成工事高(Z2):この欄に記載された数値が、計算式の「Z2」に該当します。

これらの数値は、建設工事の種類ごとの経審 Z点の計算において最も重要な要素となります。


Z1(技術職員数)とZ2(元請完成工事高)の数値を求めよう🔢

Z点の計算に入る前に、まずはZ1とZ2のそれぞれの数値を、ご提示いただいた計算式と実例数値を使って計算してみましょう。

1. 土木一式工事の場合

〔Z 技術職員数及び工事種類別年間平均元請完成工事高〕
Zの値については、次の式により算出する。

Z=(Z1 技術職員数の点数×0.8)+(Z2 工事種類別年間平均元請完成工事高の点数×0.2)
※ 技術職員数の点数及び元請完成工事高の点数については、次の表に当てはめ算出する。
※ 評点に小数点以下の端数がある場合は、これを切り捨てる。

技術職員数値の求め方

上表 総合評点通知書より

  技術職員数 一級  3人 (講習受講者3人)3人×6点=18点

+ 一級技術者左記以外 0人          0人×5点= 0点

+ 基幹技術者     0人          0人×3点= 0点

+ 二級技術者     2人          2人×2点= 4点

+ その他       1人          1人×1点= 1点

  土木一式の技術職員数値           合計   23点

技術職員数(Z1)の数値の求め方

Z1の数値は、以下の計算式で算出されます。

Z1=62×(技術職員数値)÷10+636

  • 実例:技術職員数値 = 23

Z1=62×23÷10+636=142.6+636=778(小数点以下切り捨て)

(Z2 工事種類別年間平均元請完成工事高の点数)

元請完成工事高(Z2)の数値の求め方

Z2の数値は、以下の計算式で算出されます。

Z2=51×(年間平均元請完成工事高)÷100000+847

  • 実例:年間平均元請完成工事高 = 303,186

Z2=51×303186÷100000+847=154.62+847=1001(小数点以下切り捨て)

2. 舗装工事の場合

技術職員数値の求め方

上表 総合評点通知書より

  技術職員数 一級  3人 (講習受講者3人)3人×6点=18点

+ 一級技術者左記以外 0人          0人×5点= 0点

+ 基幹技術者     0人          0人×3点= 0点

+ 二級技術者     2人          2人×2点= 4点

+ その他       1人          1人×1点= 1点

  舗装工事の技術職員数値           合計   23点

技術職員数(Z1)の数値の求め方

  • 実例:技術職員数値 = 23

Z1=62×23÷10+636=142.6+636=778(小数点以下切り捨て)

元請完成工事高(Z2)の数値の求め方

Z2の数値は、以下の計算式で算出されます。

Z2=29×(年間平均元請完成工事高)÷20000+687

  • 実例:年間平均元請完成工事高 = 88,525

Z2=29×88,525÷20000+687=815(小数点以下切り捨て)

3. 水道施設工事の場合

技術職員数値の求め方

上表 総合評点通知書より

  技術職員数 一級  0人 (講習受講者 0人) 0人×6点= 0点

+ 一級技術者左記以外 0人          0人×5点= 0点

+ 基幹技術者     0人          0人×3点= 0点

+ 二級技術者     0人          0人×3点= 0点

+ その他       0人          0人×3点= 0点

  水道施設の技術職員数値           合計   0点

技術職員数(Z1)の数値の求め方

  • 実例:技術職員数値 = 0

62 × (技術職員数値) ÷ 5 + 510

Z1=62×0÷5+510=510

元請完成工事高(Z2)の数値の求め方

  • 実例:年間平均元請完成工事高 = 0

341 × (年間平均元請完成工事高) ÷10,000 + 241

Z2=341×0÷10000+241=241


実例:通知書のデータをもとにZ点を計算してみよう📈

それでは、計算で求めたZ1とZ2の数値を使い、Z点を計算してみましょう。

評点Zの値については、次の式により算出する。

=(Z1 技術職員数の点数×0.8)+(Z2 工事種類別年間平均元請完成工事高の点数×0.2)

1. 土木一式工事のZ点計算

計算で求めた数値   

  • 技術職員数(Z1)の数値: 778
  • 元請完成工事高(Z2)の数値: 1001

この式に、上記の数値を当てはめます。

Z点=0.8×778+0.2×1001

Z点=622.4+200.2=822.6

【最終的なZ点】 評点に小数点以下の端数がある場合は切り捨てるため、土木一式工事の最終的なZ点は「822点」となります。

2. 舗装工事のZ点計算

計算で求めた数値

  • 技術職員数(Z1)の数値: 778
  • 元請完成工事高(Z2)の数値: 815

この式に、上記の数値を当てはめます。

Z点=0.8×778+0.2×815

Z点=622.4+163=785.4

【最終的なZ点】 評点に小数点以下の端数がある場合は切り捨てるため、舗装工事の最終的なZ点は「785点」となります。

3. 水道施設工事のZ点計算

計算で求めた数値

  • 技術職員数(Z1)の数値: 510
  • 元請完成工事高(Z2)の数値: 241

この式に、上記の数値を当てはめます。

Z点=0.8×510+0.2×241

Z点=408+48.2=456.2

【最終的なZ点】 評点に小数点以下の端数がある場合は切り捨てるため、水道施設工事の最終的なZ点は「456点」となります。


計算過程から見えるZ点アップの改善ポイント💡

計算過程を見ると、**技術職員数(Z1)がZ点全体の80%**を占めていることが分かります。これは、技術者の質や量がZ点の評価に極めて大きな影響を与えることを意味します。

1. Z1(技術職員数)の改善策

「技術職員がたくさんいるのにZ1の点数が低い…」と感じる場合、以下の点を確認してみましょう。

  • 従業員に資格取得を促す: 従業員の資格取得費用を補助したり、講習受講を奨励したりすることで、技術者の質と量を高めることができます。
  • 管理技術者講習の徹底: 管理技術者には、管理技術者講習の受講を徹底させましょう。
  • 実務経験者の活用: 2級相当の資格者や、職長経験のある従業員には機関技術者講習を受けさせることで、技術職員として評価対象に加えることができます。また、10年以上の実務経験者は漏れなく記載することが重要です。
  • 複数の資格を保有する技術者の業種判断: 一人の技術者が複数の資格を保有している場合、経審で評価される業種は最大2つまでです。どの業種で技術者としてカウントするか、戦略的な判断が求められます。
  • 常勤性の証明不足: 技術職員としてカウントするには、6ヶ月以上の継続した常勤性が必要です。社会保険の加入状況や、給与明細などで常勤性が証明できないと、技術職員として認められません。

2. Z2(元請完成工事高)の改善策

元請完成工事高の評価比率は下がりましたが、依然として20%を占める重要な項目です。

  • 下請工事の誤計上: Z2は元請工事のみが評価対象です。下請工事を元請工事として誤って計上していないか確認しましょう。
  • 証明書類の不備: 元請工事の実績を証明する請負契約書発注書などの書類がきちんと揃っていない場合、正しく評価されません。
  • 元請完成工事高の振替制度: 経審では、複数の業種で許可を受けている場合、それぞれの業種の年間平均元請完成工事高を、1つの業種に合算して申請する振替制度を利用できます。例えば、今回の土木一式工事、舗装工事、水道施設工事の元請完成工事高を、すべて土木一式工事に振り替えることで、土木一式工事のZ2評点を上げることが可能です。これにより、土木一式全体のZ点アップが期待できます。

具体的な改善策:

  • 元請営業の強化: 積極的に元請工事を受注するための営業戦略を立て、実行しましょう。
  • 書類管理の徹底: 契約書や発注書は、経審の申請に備えて適切に保管・管理することが非常に重要です。
  • 振替制度の戦略的活用: 複数の業種の実績がある場合は、どの業種に振り替えるのが最もZ点アップに繋がるか、専門家と相談しながら戦略を立てましょう。

まとめ|計算方法を理解し、専門家とZ点を伸ばそう🤝

経審 Z点の計算方法を理解することは、自社の技術力評価を客観的に把握し、今後の改善策を練るための第一歩です。総合評定値通知書の数字をただ眺めるだけでなく、その数字がどのような計算過程を経てZ点になっているのかを把握することで、どこに課題があるのかが明確になります。

もし、「計算は分かったけれど、具体的にどう改善すればいいのか分からない…」「今の申請内容が本当に正しいのか不安…」と感じているなら、ぜひ一度、経審の専門家である行政書士にご相談ください。

[関連ページ]

「Z点の評価項目をより詳しく知りたい場合は技術職員数と元請完成工事でZ点を上げる方法」をご覧ください。

経審の他の評価項目全体にについて知りたい方はこちら

総合評定値通知書」P点の解説

経審に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

計算過程から見える Z 10のアップの改善 ポイントについてさらに良いアドバイスがあります。 それぞれ 言いますので まとめて追加的に加えていただけますか 技術職員について。 従業員に資格の取得を促す。 管理技術者には 管理技術者講習の受講を徹底させる。 2級相当の資格者については、実務経験、職長 経験によっては 機関技術者講習を受けさせる。 10年以上の実務経験者がある技術者は漏れなく記載する。 複数の資格を保有している技術者の業種の判断。

承知いたしました。ご提示いただいたZ点アップのための具体的なアドバイスを、計算過程から見える改善ポイントとして追加します。これにより、記事がより実践的で役立つ内容になります。

執筆者情報

執筆者:代表  林 信武(はやし のぶたけ)

所属: NOBU行政書士事務所

プロフィール:

建設業許可・経営事項審査を専門にサポートしていきます。

また、ドローン飛行許可申請・法務相談も多数対応しており、

建設業とドローンの事業者様を支援しています。

日本商工会議所簿記1級を取得しており、法律と会計両方の視点から建設業者様の経営をサポート。

「わかりやすい」をモットーに、法律や会計の難しい内容を噛み砕いて解説させていただきます。